Classici giapponesi con furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 13.809 caratteri · 28 schermate
うれしさにあとおしをされて
「ついばんであげよか小麦さん」
白いひよこは云いました、
小麦の芽生えはおどろいて
細いその葉をふるわせて
やさしい声で云いました、
「もちっとまって下さいな
わたしの身丈のもう少し
大人に近くなるまでは」
菫の香りのとけ込んだ
春の空気はフンワリと
二人のまわりをつつみます
紫紺にかがやくせなもった
つばめが海を越えて来た
小さい可愛い背の上に
夏の男神を乗せて来た
茎は青白葉は柔く
小麦が大人になりました
「ついばんであげよか 小麦さん
貴方の身丈もちっとのびた」
小麦はさやさや葉をならし
可愛いこえで云いました
「白いひなさんかわゆい御方
私の持ってる青い穂の
みのらないのがわかりましょう、
もちっと待って下さいな」
「ついばんであげよか小麦さん」
小麦はうれしい声出して
「エエどうぞ たくさんあがって下さいな
すっかり大きくなりました」
小麦は体をなよなよと
地にまでねせて云いました、
白いひよっこは親鳥に
これも大きくなりました
こんな下らないもんくを紙にかきつけて声高に勝手なうたの節をつけてうたって居た。
新しいゴムマリの様の心地で……
御ひるすぎ、私は出まどの前に坐って、楓のやわらかそうな芽生えを見ながらいろいろたのしい事を――私のこれからあとの……――思って居た。