Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
そのついでに母と誰かが話していたのだが、チンコッきりおじさんは、職人としても好くないのだそうだ。細君の方は目が高くて、煙草の葉を選るのにたしかで早い、大事な内職人なので、その方を手離したくないために、役にたたない御亭主も雇っておいてくれる。家でも口やかましい人が外に出ていてくれるのだから、大切に、おがむようにして出してやる。店の方でも細君の方に沢山仕事をさせたいので、機嫌をとっておいてくれるので、それでも三日目位にはあきてしまうのだと言った。
藤木さんはその頃が貧窮のどん底だったが、細君の前だけでは、封建的殿様ぶりを発揮して、怒鳴ってばかりいた。蜜柑箱にキンタマ火鉢を入れたのが長火鉢かわりの生活でいて、
「貴様なんぞはボテイフリの嬶にでもなれ。」
というのが口癖で、魚売は自分よりよほど身分違い――さも低級でもあるように賤しめて罵る習慣があったのだ。貞淑な細君は、そんな事を言われても尤ものように押だまって辛棒強く働いていた。手跡はお家流をよく書き、腰折れの一首もものし、貧乏の中に風流を解するゆとりもあり、容貌は木魚の顔のおじいさんの娘なりに、似てはいたが醜くはなかった。