Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
そんな事は日本橋油町辺りの子供の誰一人知ってはいなかった。
田圃道を歩きながら、おばあさんは錦絵のような話をはじめる。
「根岸にはお大名の別荘が沢山あるけれど、加賀様のお姫さまがたは揃ってお美しかった。お前さん、桜の咲くころに、お三方もお四方も揃ってお出になると、まるで田舎源氏の挿絵のようさね。」
「おばあさん、お姫様はピラピラをさげてる?」
「お袿は召ていないが、お振袖で、曙染で、それはそれは奇麗ですよ、お前さんに見せたいね。ほんと! 桜の花よりものいう花がきれいさ。」
あたしにはまたちょいとこの会話が分らなくなる。牛乳を呑ましてくれる家の門に来た。
「ここらはもう三河島田圃。」
とおばあさんがいったから、三河島の方へ寄っていたのであろう。一構の百姓家は牧場になっていた。牛の牧場なんてそれまで見た事もない私だった。優しい眼をした黄と白の斑牛が寝そべっていて、可愛い仔牛がいたが、生きた牛の添にいった事はないし、臆病な私は怖かった。若いキリリとした女房さんが、堀井戸に釣るしてあった鑵からコップへ牛乳を酌んでくれた。濃い、甘い、冷たい牛乳だった。
「お砂糖がはいっているよ。