Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

店だ。赤ら顔の頭の禿げた滝床は、大通りの大店をもっている廻り髪結さんだったのだ。だから酒屋さんの店にいるときはすけない。たまに店にいる時は、ずっと店の前の方へ腰かけをもちだして、お客に白いきれをかけて斬髪をしているその道具が、菊五郎のおはこの『梅雨小袖昔八丈』の髪結新三が持ってくるのとそっくりそのままのをつかっている。滝床親方は、ずんぐりした体にめくらじまのやや裾みじかな着附けでニコニコ洋鋏をつかっていたが、お得意なのは土鉢に植えた青い、赤い実のなっているトマトだった。

尤もトマトなんて、知っているものもすけなければ、食べることなどはなおさらだったであろうが、細竹でささえて、二尺五寸ばかりに伸びたそれは、葉が茂って赤い実が美しく、斬髪の客の傍におかれてあった。

「この実のなってるのなんだね?」

「西洋の唐茄子だということで――」

「へえ? 珍らしいものだが、西洋の唐茄子って、ばかに細っかいもんだな。」

その一軒おいてとなりに紙屑屋のおもんちゃんの家があった。おもんちゃんの家は表はせまくって、紙屑で一ぱいだったが――紙屑やといっても問屋だったのだ――裏には空地があって、糸瓜の棚が田舎めかしかった。