Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

丸の内の火事は、旧幕時代でも、町奉行、火消掛、お目附その他役附老中の出馬、諸大名の固め、町火消、諸家お抱火消と繰出して、持場持場についたものだが、当今、城は宮城であり、何しろ議事堂の失火だからと、父ははなしてくれた。単に建築物が焼け滅びるという言葉意外に、大きな衝動をうけたに違いない。

そのころは、まだ写真術が幼稚だったし、新聞の号外もまだ早く出なかったから、私たちに目から教えたものは、やはり木版摺三枚つづきの錦絵だった。ここに入れるのに丁度よい議事堂の火事の絵をもっていたのだが、どこへか失ってしまった。私は昨日も今日も、随分たんねんに探ねたが見えないのですこしがっかりしている。

人は何かあると、家の中になんぞいられるものではないと見える。童女のあんぽんたんの知る憲法発布もそうだったが、日清戦争のはじまった時もそうだった。ただ、ワアーと男たちが外へ飛出した。ただすたすたと駈けてゆく。下駄で、前垂れがけの、縞物の着つけの人ばかりの町だ。かわった風体のものが交ったって目にもはいりはしない。なんだか妙に、賑やかにさびしく、興奮した顔というのか、近火へでも駈けつけるように、誰も話しあいもしないで、すたすたと、各自バラバラに駈けていった。