Classici giapponesi con furigana
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はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Leggi 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.640 caratteri · 21 schermate
蜻蛉の辰の肩は、板のように固く、瘤のように胼胝ができていたのである。
「おうっ、辰っ。」三次の調子ががらりと変ったのはこの時だった。「お前なんだな、駕籠を担ぐな。」
辰は両手を突いて黙っていた。
「辻か、いやさ、辻駕籠かよ。」
辰は返事をしない。三次はたたみかけた。
「相棒は誰だ。出場はどこだ。」
辰は無言だった。三次はかっとして、この野郎っ、直に申上げねえかっ、と呶鳴ろうとしたが、何思ったかにこりと笑って、
「辰さんや、何をしても商売だ。のう、駕籠かきだとて恥じる節はねえわさ。まあま、男は身の動くうちが花だってことよ。精々稼ぎなせえ。」
と言ったなり、頭を下げている辰公を残してぶらりとその家を出たのだった。
「ふうん、こりゃあちょっと大物だぞ――。」
生酔いのように道路の真中を一文字に、見れども見えず聞けども聞かざるごとく、思案にわれを忘れて花川戸の自宅に帰り着いた早耳三次は、呆れる女房を叱りとばして昼の内から酒にして、炬燵に横になるが早いか、そのまま馬のように高鼾をかいて睡ってしまった。
四
音も月も凍てついた深夜の衢、湯島切通しの坂を掛声もなく上って行く四手駕籠一梃、見えがくれに後を慕って黒い影が尾けていた。