Classici giapponesi con furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Leggi 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.950 caratteri · 85 schermate
他の総ての者が自分ほどひたむきに兄の身を思いはしない、ということのみであった。
そのとき宗久が、ふと目をひらいた。長く克子を見つめていたが、
「お前は誰だ?」
本当に怪しんでいる声である。ねむる前の兄の言葉がまだナマナマしく耳についている克子はビックリして、
「私です。克子ですわ」
「いつ、来たのだ?」
「私と話を交してから一ねむりなさったばかり。お目がさめたばかりで頭がハッキリなさらないのでしょう。たった四五十分前のことですのに。私に、いつまでもここに居なさい、と仰有ったではありませんか」
宗久は思いだしたようである。けれども、どの程度に思いだしたか、怪しいものであった。宗久は真剣に考えている様子だったが、
「お前は結婚したと思うが、たしか、そうであったな」
「ええ。結婚しました。なんてむごたらしいことを仰有るのですか。たしか結婚した筈だろうなんて。克子のことは、他人の出来事のようにしか頭にとめてらッしゃらないのね」
「イヤ、イヤ。それを咎めてくれるな。オレが総ての物を疑らねばならないのは、誰よりもオレ自身にとって、これほど苦痛なことはないのだからなア。ところで、お前は誰と結婚したのだっけな」