Classici giapponesi con furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Leggi 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.242 caratteri · 65 schermate
まだドンブリに一箸もつけない時だから、タタミ一面ドンブリの海だが、甚八はケンギをまぬかれたようなもの。狭心症とか脳溢血というような急変であったろう。
「…………」
津右衛門はのたうちながら、妻をさがしているようだ。何か言いたいことがあるが、もう声がでないらしい。彼の右手は何か異様な運動をした。何か意味のあることをしようとするらしいが、ケイレンや、苦しみもがくことに妨げられて、瞬間的な持続しかないので、意味を完成することができないのである。
彼は碁盤の方に向って、時々手をのばすのだ。と、苦しみのために、もがかねばならなくなる。また、同じ方向へ手をあげる。手をのばす。幾たび目かに気がついたが、指が一つの方向を指しているのだ。千代はその指を見つめて考えた。何かを指さすのでなければ、あのように手を握り、一本の人差指だけを突きだしはしないであろう。津右衛門は尚もいくたびか同じことをくりかえした。
人の執念は怖しいもので最後に碁盤を指したとき、はげしくケイレンして、その儘の姿勢で息をひきとったのである。苦しみだして十分間ほどの短時間であった。野辺の送りも滞りなくすんだ。