Classici giapponesi con furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Leggi 星女郎 (ほしじょろう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.344 caratteri · 104 schermate
「――ございました。」
「どんな事ですか。」
少し急込んで聞きながら、境は楯に取った上坂を見返った。峠を蔽う雲の峰は落日の余光に赤し。
行者の頬も夕焼けて、
「順に申さんと余り唐突でございますで――一体かようでございます。
峠で力餅を売りました、三四軒茶屋旅籠のございました、あの広場な、……俗に猿ヶ馬場――以前上下の旅人で昌りました時分には、何が故に、猿ヶ馬場だか、とんと人力車の置場のようでござりましたに、御存じの汽車が、この裾を通るようになりましてからは、富山の薬売、城端のせり呉服も、碌に越さなくなりまして、年一年、その寂れ方というものは、……それこそまた、猿どもが寄合場になったでございます。
ところで、峠の茶屋連中、山家ものでも商人は利に敏い――名物の力餅を乾餅にして貯えても、活計の立たぬ事に疾く心着いて、どれも竹の橋の停車場前へ引越しまして、袖無しのちゃんちゃんこを、裄の長い半纏に着換えたでござります。さて雪国の山家とて、桁梁厳丈な本陣擬、百年経って石にはなっても、滅多に朽ちる憂はない。それだけにまた、盗賊の棲家にでもなりはせぬか、と申します内に、一夏、一日晩方から、や、もう可恐く羽蟻が飛んで、麓一円、目も開きませぬ。