Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はる
春
岡本 かの子
Leggi 春 (はる) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.864 caratteri · 48 schermate
だが弟の腕がどうも鈍い。兄の方が或る時癇癪を起して金槌を弟に振り上げたんですね。まさか撲ちゃあしませんでしたけど、弟は吃驚して気が違っちまったんです。五六年前ですよ。あの弟がここへ入院したのは。兄は月三度は屹度ここへやって来る。そして弟と一緒に遊んでやるんですよ。優しい心掛けでさあ、みんな見ちゃあ憐れがるんですよ。兄はここへ来ちゃあ弟の言うことを何でも聞くんです。罪ほろぼしの気持なんですね。弟は変な真似をさせるんですよ。自分の手まね足まね、みんな兄貴にやれって言うんです。兄貴はやるんです何でも。舌を出せ、手を挙げろ、四つん這いになれ、寝ころんで見ろ――いまに始めますぜ、また。
加奈子は、もう男の説明は沢山だという気がして来た。みんな誰でも、一度貰ったものは返さねばならず、自分のしたことには結局責任を負わなければならないのだと思った。いまいましいような悲しい人生だと思った。しかしまた惚れ惚れとするような因果応報の世の中でもあると思った。
だが、加奈子は、もう、この気違いの散歩場を見ているのも沢山になった。気違い達の頭の上で過度に誇らしく咲き盛っている桜の花も、ねばる執拗なものに見えて来た。