Classici giapponesi con furigana
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はる
春
Leggi 春 (はる) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9519 caratteri · 20 schermate
彼は実際顔の赤い、妙に目ばかり赫かせた、――つまり猿じみた青年だった。のみならず身なりも貧しかった。彼は冬も金釦の制服に古いレエン・コオトをひっかけていた。広子は勿論篤介に何の興味も感じなかった。辰子も――辰子は姉に比べると、一層彼を好まぬらしかった。あるいはむしろ積極的に憎んでいたとも云われるほどだった。一度なども辰子は電車に乗ると、篤介の隣りに坐ることになった。それだけでも彼女には愉快ではなかった。そこへまた彼は膝の上の新聞紙包みを拡げると、せっせとパンを噛じり出した。電車の中の人々の目は云い合せたように篤介へ向った。彼女は彼女自身の上にも残酷にその目の注がれるのを感じた。しかし彼は目じろぎもせずに悠々とパンを食いつづけるのだった。……
「野蛮人よ、あの人は。」
広子はこのことのあって後、こう辰子の罵ったのをいまさらのように思い出した。なぜその篤介を愛するようになったか?――それは広子には不可解だった。けれども妹の気質を思えば、一旦篤介を愛し出したが最後、どのくらい情熱に燃えているかはたいてい想像出来るような気がした。辰子は物故した父のように、何ごとにも一図になる気質だった。