Classici giapponesi con furigana
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はるさきのこぶつてん
春さきの古物店
小川 未明
Leggi 春さきの古物店 (はるさきのこぶつてん) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3911 caratteri · 8 schermate
まあ、こうして、一日でも長くいられるにこしたことがない……。」といいました。みんなは、なるほどそうかなと考えられたのです。
一日、客がこの店にはいってきました。主人は、なにかその客と話をしていました。張り板・机・乳母車は、めいめいに自分が買われてゆくのでないかと、胸をどきどきさしていました。それは、不安なうちにどこか明るい希望のあるような感じでもありました。
そのうちに、主人は、一方のすみの方から、手を延ばして、あまり大きくないものをつかみ出しました。みんなは、それがなんであるかと目を向けますと、鼻がねずみに食われて欠けていた、古いひな人形でありました。いつか、みんなは、この人形が仲間入りをしたときに、大いに笑ったものです。その後、その存在すら忘れられていたのでした。客は、どういうつもりか、その人形を買ってゆきました。
店さきが、ふたたび静かになったとき、みんなは顔を見合わせて、いまさら運命というものの不可思議を考えさせられたのであります。
――一九二五・一二――