Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

はるのとうぞく

春の盗賊

太宰 治

Leggi 春の盗賊 (はるのとうぞく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.212 caratteri · 58 schermate

Aozora Bunko

いま考えてみると、その他にも、たくさんの不思議な前兆があった。ずいぶん猛烈のしゃっくりの発作に襲われた。私は鼻をつまんで、三度まわって、それから片手でコップの水を二拝して一息で飲む、というまじないを、再三再四、執拗に試みたが、だめであった。耳の孔が、しきりに痒ゆい。これも怪しかった。何かしらの異変を思わせるほどに、痒ゆかった。その他にも、いろいろある。ふいと酒を飲みたくなる。トマトを庭へ植えようかと思う。家郷の母へ、御機嫌うかがいの手紙を書きたくなる。これら、突拍子ない衝動は、すべて、どろぼう入来の前兆と考えて、間違いないようだ。読者も、お気をつけるがよい。体験者の言は、必ず、信じなければいけない。

いよいよ、四月十七日。きのうである。この日は、悪い日だった。私は、その日、朝から、しゃっくりに悩まされていた。しゃっくりが二十四時間つづくと、人は、死ぬそうである。けれども、二十四時間つづくことは、めったにないそうである。だから、人は、しゃっくりでは、なかなか死なない。私は、朝の八時から、黄昏どきまで、十時間ほど、しゃっくりをつづけた。危いところであった。