Classici giapponesi con furigana
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はるのとうぞく
春の盗賊
Leggi 春の盗賊 (はるのとうぞく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.212 caratteri · 58 schermate
を信じて居りましたし、その親戚の記者も、あなたと直接お逢いしたことは無く、ただ噂だけを信じて、私たちに忠告して寄こしたのですし、本人に逢った印象が第一だ、と私も思いまして、私は、いまは、ちっともあなたのことを疑っていないのですけれども、あんな、どろぼうなんかに、小説みたいなことおっしゃったりなんかして、――」
「わかった。やっぱり、変質者か。」結婚して、はじめて、このとき、家内をぶん殴ろうかと思った。どろぼうに見舞われたときにも、やはり一般市民を真似て、どろぼう、どろぼうと絶叫して、ふんどしひとつで外へ飛び出し、かなだらいたたいて近所近辺を駈けまわり、町内の大騒ぎにしたほうが、いいのか。それが、いいのか。私は、いやになった。それならば、現実というものは、いやだ! 愛し、切れないものがある。あの悪徳の、どろぼうにしても、この世のものは、なんと、白々しく、興覚めのものか。ぬっとはいって来て、お金さらって、ぬっとかえった。それだけのものでは、ないか。この世に、ロマンチックは、無い。私ひとりが、変質者だ。そうして、私も、いまは営々と、小市民生活を修養し、けちな世渡りをはじめている。