Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しゅんせつ
春雪
久生 十蘭
Leggi 春雪 (しゅんせつ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.672 caratteri · 23 schermate
癪だから、あのトラックが来るまで、あそこに立っていて、睨みかえしてやるの」
「なんだか、わからない話だな」
「でも、それをしないと、一日中、気になってたまらないの。クシャクシャするんです」
「気になるというのは、好きだということなのか」
「それは、あたしも考えてみたことがあるの。でも、そうではなさそうなんです」
「そんなこと、不自然じゃないか」
「不自然でもなんでも、そうなんです」
そういうと、いきなり畳に両手をついて頭をさげた。
「ごめんなさい。あんなつまらないこと、やめるわ」
いきなり、あやまってしまったりするのは、柚子の性質にないことだ。たしかに駈引をしているにちがいないが、本音を吐かせるところまで捻伏せるつもりなら、こちらも、感情を編みだすところから、やらなくてはならない。のみならず、そういうやりかたは、成功したためしがないのだ。
「やめられるなら、やめたほうがいいね。ついでに、工場のほうも、しばらく、よせ」
「ええ、そうします」
「明日から千駄ヶ谷へ来なさい。女中より先に起きて、家のことをするんだ。いいかね」
柚子はすこしばかり身の廻りのものを持って池田の家へ移って来た。