Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
誰か来るかしら」
「誰か来るといえば、芝居の方から誰も来なかったかしら」
「いいえ、きょうはまだ誰も……」と、お浜は丁寧に炭をつみながら答えた。「定さんの話に、おまえさんは今度は役不足だというじゃありませんか」
「役不足という訳じゃあない」と、紋作は膝の前の煙管をひき寄せた。「旅へ出てならともかくも、江戸の芝居で、わたしに判官と弥五郎を使わせてくれる。役不足どころか、有難い位のものさ。だが、どうも気が乗らない。今もいう通り、今度の芝居はいっそ休もうかとも思っているんだ」
「なぜ」と、お浜は火箸を灰につき刺しながら向き直った。「あたし、おまえさんの判官がみたいわ。出使いでしょう」
「無論さ。だが、師直が気にくわない。こっちが判官で、あいつに窘められるかと思うと忌になる」
今度の狂言は「忠臣蔵」の通しで、師直と本蔵を使うのはかの吉田冠蔵であった。かたき同士の冠蔵を相手にして、三段目の喧嘩場をつかうのは紋作として面白くなかった。いっそ病気を云い立てにして今度の芝居を休んでしまおうと思っていた。
「でも、休んじゃ困るでしょう、この暮にさしかかって……」
「なに、どうにかなるさ」