Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
そのはずみに自分の帯が解けかかって、それに足をからまれて、お葉はよろけながら池のなかへ滑り込んでしまった。其蝶はおそろしいのがいっぱいですから、あとがどうなったか振り向いてもみないで、転がるように表へ逃げ出して、一生懸命に自分の家へかけて帰って、入口の戸を堅く締め切って、息を殺して夜の明けるのを待っていたそうです。右の小指の疵は、お葉の手から剃刀をうばい取るときに自分で突き切ったので、その当座は夢中でしたが、あとでだんだん痛んで来たので、初めてそれと気がついたということです」
「其蝶はなぜ早くそれを訴え出なかったんでしょうね」
「わたくしも一旦はそれを疑いましたが、其蝶の申し立ての嘘でないことは、お葉の血染めの手紙をみて判りました。それまでに来た附文はみんな裂いてしまったんですが、最後の手紙だけはそのまま机のひきだしに入れてあったので、其蝶のためには大変に都合のいい証拠品となりました。其蝶がなぜそれを訴えなかったかというと、それを表向きにすれば内輪のことを何もかもさらけ出さなければならない。それでは第一に師匠の恥、第二には自分も何かのまきぞえを受けるかも知れないと、それを気づかって黙っていたのです。