Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
と、四十ばかりの女房が雑巾のような手拭で濡れ手を拭きながら出て来た。
「いらっしゃいまし。おあつらえは……」
「そうさなあ」
云いながら半七は家のなかを見まわした。この小ぎたない店付きではどうで碌なものは出来まいと思ったので、彼は当り障りのないように花巻の蕎麦を註文すると、奥から五十ばかりの亭主が出て来て、なにか世辞を云いながら釜前へまわって行った。すすけた壁をうしろにして、半七は黙って煙草をのんでいると、外の時雨はひとしきり強くなって来たらしく、往来のさびしい街道にも二、三人の駈けてゆく足音がきこえた。と思ううちに、一人の男がこの雨に追われたように駈け込んで来た。
「やあ、降る、降る。こんな雨になろうとは思わなかった」
男の菅笠からはしずくが流れていた。かれは手甲脚絆の身軽な扮装で、長い竹の継竿を持っていたが、その竿にたくさんの鳥黐が付いているのを見て、それが鳥さしであることを半七はすぐに覚った。彼は時々ここへ来ると見えて、蕎麦屋の夫婦とも懇意であるらしく、たがいに馴れなれしくなにか挨拶していた。狭い店であるから、彼は半七のすぐ前に腰をおろして、濡れた笠をぬぎながら会釈した。