Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
お杉は眼をひからせて半七の顔を屹と見たが、すぐに又うつむいてしまった。
「え、そうだろう。吉見の旦那はゆうべ来やしなかったか。え、来たろうな」
お杉はやはり黙っていた。半七はその肩に手をかけて云った。
「え、ほんとうに来たろう。隠しちゃあいけねえ」
「いいえ」
「たしかに来ねえか」
「おいでになりません」と、お杉はきっぱり答えた。
「嘘をついちゃあいけねえぜ。嘘をつくと飛んだことになる。吉見さんは全く来ねえか」
「一度もおいでになりません」
半七は黙ってお杉の顔色をながめていると、足もとの鶏がだしぬけに時を作ったので、お杉は思わず顔をあげた。その顔はいつか蒼ざめていた。
おとなしそうに見えてもなかなかに強情らしいので、半七はこの上の詮議は無駄であろうと思った。もちろん彼女を引っ張って行って、表向きに吟味する術がないでもないが、町方と違ってここらは郡代の支配であるから、公然彼女を吟味するとなれば、どうしても郡代の屋敷へ引っ立てて行かなければならない。そうなると、この事件は明るみへ持ち出されて、たといその鳥のゆくえは判ったとしても、光井金之助らは当然その咎めをうけなければならない。