Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
妙義の山の女に吸い付かれたら、山蛭よりも怖ろしいんだから、そのつもりで腰を据えていることさ。ねえ、そうおしなさいよ」
「いや、そうは行かねえ。少し急ぎの道中だから」
「急ぎの道中なら坂本から碓氷へかかるのが順だのに、わざわざ裏道へかかって妙義の山越しをするお客様だもの、一日や二日はどうでもいい」と、おこんは意味ありげに又笑った。
男はもう黙ってしまって、山風にゆれる行燈の火にその蒼白い顔をそむけながら、冷えた猪口をちびりちびり飲んでいた。
「なにを考えているの、おまえさん」と、おこんは膝をすり寄せた。「あたしはおまえさんが可愛いから内証で教えてあげる。さっきおまえさんがこの暖簾をくぐると、少しあとからはいって来た二人連れがあるのを知っているかえ」
男の顔はいよいよ蒼くなった。
「その二人はどうもお前さんの為にならないお客らしいから、その積りで用心おしなさいよ」
「よく教えてくれた。ありがたい」と、男は拝むようにしてささやいた。「じゃあ、もうここにうかうかしちゃあいられねえ。夜の更けないうちにそっと発たしてくれ」
「ああ、よござんす。あたしがほかの座敷へ廻っている間に、この窓からそっとぬけ出して……。