Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
かれは立ち寄って声をかけた。
「お小僧さん。なにか落したのかえ」
それが耳にもはいらないらしく、小坊主は熱心になにか拾おうとしていた。しかしまだ十三四の子供の手では溝の底までとどかないので、かれは思い切って下駄をぬいで、石垣を伝って降りようとするらしかった。半七は再び声をかけた。
「もし、もし、お小僧さん。なにを取ろうとするんだ。なにか落したのなら、わたしが取ってあげる」
小坊主は初めて振りかえったが、返事もしないで黙っていた。半七はかがんで溝をのぞくと、底はさのみ深くもなかった。苔の多い石垣のあいだから幾株の芒や秋草が水の上に垂れかかって、岸の近いところには、湿れた泥があらわれていた。それを見まわしているうちに、ある物が半七の眼についた。
「おまえさん。あれを取ろうというのかえ」と、半七は溝のなかを指さして訊いた。
小坊主は黙ってうなずいた。こんなことには馴れている半七は、草履の片足を石垣のなかほどに踏みかけて、片手に芒の根をつかみながら、からだを落すようにして岸に近い泥のなかへ片手を突っ込んだ。彼がやがて掴み出したのは小さい仏の像であった。仏は二寸に足らないもので、なにか黒ずんだ金物で作られているらしく、小さい割合にはなかなか目方があった。