Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.744 caratteri · 434 schermate

Aozora Bunko

誰が善か、誰が悪か、それさえもまだ見当が付かないので、わたしは黙って相手の顔をながめていると、老人は又しずかに話し出した。

「これが初めにお話し申した疱瘡の一件ですよ」

「疱瘡……。植疱瘡ですか」

「そうです。前にも云う通り、江戸では安政六年から種痘所というものが出来て、植疱瘡を始めました。このお話の文久二年はそれから足掛け四年目で、最初は不安心に思っていた人達も、それからそれへと聞き伝えて、物は試しだから植えてみようと云うのがぽつぽつ出て来ました。その頃にはまだ文明開化なんて言葉はありませんでしたが、まあ早く開化したような人間が種痘所に通うようになったんです。菊園の若主人夫婦は別に開化の人間でもなかったようですが、なんにしても子供が可愛い。玉太郎という児がその名の通り、玉のような綺麗な児で、七つになるまで本当の疱瘡をしない。そこへ植疱瘡の噂を聞いたので、用心のために植えさせようと云うことになりました。

老人夫婦は最初不承知であったらしいんですが、もし本当の疱瘡をすれば、玉のような顔が鬼瓦のように化けるかも知れない。それを思うと、あくまでも反対するわけにも行かないので、つまりは孫が可愛さから、まあ渋々ながら同意することになったんです。