Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.744 caratteri · 434 schermate
さもなければ、主殺しの兇状持ちに係り合いのあった女を、そのまま奉公させて置く筈があるめえ」
「昔のことは構わないから、ここの家に勤めていろと主人が申しました」
「そう云うには訳があるだろう。おれはみんな知っている。ここの主人は去年の暮れ、なんで堀江まで出かけたのだ」
よく知っていると云うように、お熊は半七の顔をみあげた。しかも彼女は案外に平気であった。
「旦那は商売のことで……」
「商売の事とは何だ」
「雁の羽を取りに……」
「雁の羽……」
半七は訊き返した。勝手ちがいの返事をされて、彼もやや戸惑いの形であった。雁の羽がなんの役に立つのか、彼もさすがに知らなかった。
「はい。お茶の湯に使います」と、お熊は説明した。
世間のことはなんでも心得ているように思ったが、残念ながら半七は茶事に暗かった。彼は我を折って又訊いた。
「雁の羽をどうするのだ」
「三つ羽箒にいたします」
堀江に育って、今は茶道具商売の店に奉公しているだけに、お熊は雁の羽について説明をして聞かせた。堀江の洲にはたくさんの雁が降りる、そのなかに白い雁のむらがっているのは珍らしくないが、稀には斑入りの雁がまじっている。