Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょくていばきん

曲亭馬琴

邦枝 完二

Leggi 曲亭馬琴 (きょくていばきん) di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.788 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

の額を懸けた四畳半の書斎に納まって、今しも硯に水を移したところだった。

「ぬしさん」

障子の外から、まだ廓言葉をそのまゝの、お菊の声が聞えた。

「ほい」

細目に開けた障子の隙間から、顔だけ出したお菊の声は、矢鱈に低かった。

「お人が来いしたよ」

「え」

京伝は、うんざりしたように硯の側へ墨を置いた。

「誰だい。この雪道に御苦労様な。――」

「伺うのは初めてだといいしたが、二十四五の、みすぼらしいお人でありんす」

「どッから来たといった」

「深川とかいいなんした」

「なに、深川。そいつア呆れた。――仕方がねえ。そんな遠方から来たんじゃ、会わねえ訳にもゆくめえ。直ぐに行くから、客間へ通しときな」

「会いなんすか」

「面倒臭えが、いやだともいえめえわな」

それでも京伝は、一行も書き始めないうちでよかった、というような気がしながら、お菊が去ると間もなく、袢纏を羽織に換えて、茶の間兼用になっている客間へ顔を出した。

客間の敷居際には、お菊がいった通り、無精髯を伸した、二十四五の如何にも風采の上がらない骨張った男が、襞切れのした袴を胸高に履いて、つつましやかに控えていた。

「お前さんかね。