Classici giapponesi con furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Leggi 月と手袋 (つきとてぶくろ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 80 schermate
あらゆる殺し方と、その罪をのがれるあらゆる手段を、緻密に、緻密に、毛筋ほどの隙間もなく空想していた。今、その空想の中の一つを実行すればよいのである。
(時間が大切だ。十分間に凡ての準備を完了しなければ)
彼は腕時計を見た。こわれてはいなかった。七時四十五分だ。飾り棚の上の置時計を見た。七時四十七分だ。
あけみは彼の横の床に、うつぶせになったまま身動きもしないでいた。彼はそのそばによって、上半身を抱きおこした。あけみはいきなりしがみついて来た。十センチの近さで、お互の顔を見、目をのぞき合った。克彦の考えを、あけみも察していることがわかった。ふたりの目は互いに悪事をうなずき合った。
「あけみ、鉄の意志を持つんだ。ふたりで一と幕の芝居をやるんだ。冷静な登場人物になるんだ。君にやれるか」
あけみは、あなたのためなら、どんなことでも、というように深くうなずいて見せた。
「今夜は明るい月夜だ。今から三四十分たって、この前の通りを、誰かが通りかかってくれなければ……おお、おれは冷静だぞ。こんなことを思い出すなんて。あけみ、この前をパトロールの巡査が通るのは、あれはたしか八時よりあとだったね。