Classici giapponesi con furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Leggi 月と手袋 (つきとてぶくろ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 80 schermate
中からは答えがなくて、ガタガタいう音は一層はげしくなる。
警官は腰のピストルを抜き出して、右手に構えた。そして、こんどはもう針金を使わないで、左手で力まかせにとびらを引いた。観音びらきだから、鍵がかかっていても、ひどく引っぱれば、はずれてしまう。パッととびらがひらいた。そして、そこから大きな物体がゴロゴロと、ころがり出して来た。
「アッ、あけみさん」
克彦がほんとうにびっくりしたような声で叫んだ。
「だれです、この人は」
「股野君の奥さんですよ」
警官はピストルをサックに納め、そこにしゃがんで、あけみの猿轡をはずし、口の中のネクタイを引き出してやった。
そのあいだに、克彦はうしろ手にしばられた手首を調べて見た。うまくやったぞ。ベルトが手首の肉に喰い入って、自分でしばったという疑いの余地は全くなかった。これなら大丈夫だと、克彦はわざと足首のベルトを解く方にまわり、手首の方は警官にまかせた。
すっかりベルトを解くと、あけみのからだを二人で吊って、そこのベッドに寝かせた。
「水を、水を」
あけみが、哀れな声で渇を訴えたので、克彦は台所へ駈けおりて、コップに水を持って来た。