Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つきとてぶくろ

月と手袋

江戸川 乱歩

Leggi 月と手袋 (つきとてぶくろ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 80 schermate

Aozora Bunko

彼はボール紙を左手に鋏を右手にもって落語家の「紙切り」の仕草よろしく、出鱈目の口三味線で拍子をとりながら、ボール紙を五本の指のある手の形に切り抜いていった。

克彦の背中をゾーッと冷たいものが走った。酔いもさめて、急に頭がズキンズキンと痛み出した。あけみはほんとうに幽霊でも見たような顔をしていた。目が大きくなって、可愛らしい口がポカンとあいていた。

「ハイッ、まずこのような奇妙キテレツなる形に切りとりましてございます。さて、持ちだしましたる一つの手袋……」

彼はポケットから、交通巡査のはめるような軍手に似た手袋の片方をとりだし、それを今切りとったボール紙の五本の指にはめていった。

忽ち白い人間の手になった。彼はボール紙の端を持って手袋を自分の顔の前で、いろいろに動かして見せた。それが、まるで、うしろから別人の手が出ているように見えるのだ。

ある瞬間には、事件の夜、あけみがやったのと全く同じ形になった。もう見てはいられなかった。あけみは悲鳴をあげないのがやっとだった。西洋の女のように気を失うことはなかったが、でも、失神と紙一と重の状態にあった。克彦はもう目をつぶるより仕方がなかった。