Classici giapponesi con furigana
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あさのかぜ
朝の風
宮本 百合子
Leggi 朝の風 (あさのかぜ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.605 caratteri · 31 schermate
パッカードとかハドソンとかいう高級車が時々その長い高塀に開いている門の横にとまっていることがあるようになった。
その年の春ごろから、世の中が愈々鋭い角度で推移しはじめていることがそんな光景にも語られているようであった。
幾度か苦しい気持になりながら、それでもサヨは一つ住居に住みとおして、時間のゆとりのあるつとめの傍ら少しずつ洋画の修業をやり直しはじめていた。
重吉に対するサヨの妻としての感情は、云ってみれば純粋でしかあり得ないような条件で、サヨはその感情の純粋な単一さとでもいうようなものにこりかたまることを、重吉の心の成長のためにも自分のゆたかさのためにも警戒した。自分でも気づかないでいたような様々の感情を、自分に向って表現する手だてがあるとすれば、サヨとしては好きな画を描くことによるしかなかった。サヨが自分で自分のいろんな到らなさや鬱屈や感情の上すべりした所を絵のなかでは割合発見してゆけるように、重吉もサヨのそういう実際を、サヨの下手なスケッチ絵ハガキからつかむだろうし、そのことから、重吉自身が自分の心の明暗を濃やかに活々とさせ得ることがあったとしたら、うれしいにちがいなかった。