Classici giapponesi con furigana
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きそおんたけのりょうめん
木曽御嶽の両面
吉江 喬松
Leggi 木曽御嶽の両面 (きそおんたけのりょうめん) di 吉江 喬松 (よしえたかまつ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.819 caratteri · 32 schermate
先刻の主婦もいる、六十ほどの老婆もいる。若者が二、三人いる。見ると、入口の柱に寄りかかって帯をだらりと垂らした十八、九の女が一人、娘とも思われないのが、蒼黒い土のような顔色をしている。疲れたような眼を挙げたが、またすぐ視線を地へ落してしまう。
「何だろう、え君。」一人が小声に囁く。「さあ、不思議だね。」「林務官室!」誰かが小声で言った。「ああ、そうかも知れないね。」――この家を辞してまた橋を渡って昇降常なき路を辿って行く。樹は次第に大きくなり、同じ栂、樅の類でも上の方に比べると勢好く生長している。谿はあくまで深い、峰もあくまで高く、如何に見上げても果しがない。枯れて倒れて朽ちた樹が同じく縦横に横わっている。はじめの間は日の光が木立の間から洩れて青白く斑に射していたが、雲行が怪しくなったと思うと、林の中が暗くなって山がごうと鳴り出した。ざわざわざわざわと草が揺いで、木という木は枝が打合う。如何にも気味が悪い、と思っていると、そのざわめきの中からぬっと何者かが姿を現わした。見ると二つの大きな人影だ、そして自分らの方へ向ってずんずんやって来る。近寄って見ると、黒い林務官の制服を付けた四十位の男だ。