Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きそがわ

木曾川

北原 白秋

Leggi 木曾川 (きそがわ) di 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.659 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

席が定まってから、「おや、あの印刷屋さんはどうしたね」と、私は驚いて笑った。多治見にいち早く私たちを出迎えてくれて、それから中津川に着くまでの汽車中を分時も宣伝の饒舌を絶たなかった、いささか豸へんの恵那峡人Yという、鼻の白くて高い痩せ形の熱狂者が、いつのまにか掻き消すようにいなくなったものである。

「あはは、またお出迎いでさあ、何でも活動の撮影団が来るとかいってましたから。とても夢中で」

とその従兄の民謡詩人がツルリと禿上ったその前額を指で弾く。

「ほう、いそがしいね、愛郷心もあそこまで行けば命懸けだ」

何でも八景投票の恵那峡の騒ぎというものは凄じかったらしい。うっかり悪口でもいおうものなら殺される。

と、雲と山と水との四囲の風景が走り出した。

「やれ飛べ観音というのは」

「もっと上です。惜いことしました、ゆっくり御案内できないで」

光る、光る、光る、光る。銀、銀、銀、銀の水面、水面――水面。

「あれが御番所の森です」

幽邃な左岸の林に釣人がいる。一人、二人、三人、四人。麦稈帽で半シャツ、かがんで、細い棹の糸をおなじくしんかんと水に垂らしている。木の影が老緑色に澄んで、ぴちりぴちりと何か光るけはいがある。