Classici giapponesi con furigana
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こがらしのさかぐらから
木枯の酒倉から
Leggi 木枯の酒倉から (こがらしのさかぐらから) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.163 caratteri · 22 schermate
毎年のことだが、夏近くなると俺は酒倉へサヨナラをする。それというのが、夏は君、ペンペン草を我無者羅に俺達の酒倉へはやすからなんじゃよ。見給え。夏が来ると俺達の酒倉はペンペン草で背の半分を埋めてしまうのだ。酒倉の壁の罅からもペンペン草が頸を出す。同じ草が傾いた屋根の上では頭をふり、庭も亦一面にペンペン草の波なんだ。
一体俺達の酒倉はこれでもれっきとした造り酒屋なんだけど、何分ここの亭主は自分の酒を自分一人であらかた呑みほしてしまうものだから、長い年月には母屋を呑み庭の立木を呑み(客ではない、無論亭主自身が呑んだんだ)、今では彼の寝室でありやがては棺桶であるところの破れほうけた酒倉がただ一つ残っているばかりだ。だから君、夏がきてペンペン草が酒倉の白壁の半分を包み隠してしまうとき、俺は呆然として無から有の出た奇蹟をば信ずるに至るのだけれど――君が見かけ程詩人なら、疑うべき筋合ではないのじゃよ。といったわけで、ペンペン草は生え放第に庭も道も一様に塗りつぶすものだから、俺は酒倉への出入にペンペン草に捲き込まれてとんだ苦労をしてしまうのだ。足をからむとか蛇をふみつけるとかしてわあっ! と及腰になりかかると、鼻孔にまぎれ込む奴もペンペン草であるし懐にガサガサとなる奴も――ああ何処をどうして潜り込んだのか背中で何か騒ぐ