Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すだま

木魂

夢野 久作

Leggi 木魂 (すだま) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.668 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

彼の眼の前には見覚えのある線路の継目と、節穴の在る枕木と、その下から噴き出す白い土に塗れた砂利の群れが並んでいた。

そこは太郎が轢かれた場所に違い無いのであった。

彼は徐ろに眼をあげて、彼の横に突立っているシグナルの白い柱を仰いだ。黒線の這入った白い横木が、四十五度近く傾いている上に、ピカピカと張り詰められている鋼鉄色の青空を仰いだ。そうして今一度、吾児の血を吸い込んだであろう足の下の、砂利の間の薄暗がりを、一つ一つに覗き込みつつ凝視した。その砂利の間の薄暗がりから、頭だけ出している小さな犬蓼の、血よりも紅い茎の折れ曲りを一心に見下していた。

……だけども……だけども……。

という言葉によって行き詰まらせられた脳髄の運転の休止が、又も無限の時空を抱擁しつつ、彼の頭の上に圧しかかって来るのを、ジリジリと我慢しながら……どこか遠い処で、ケタタマシク吹立てていた非常汽笛が、次第次第に背後に迫って来るのを、夢うつつのように意識しながら……。

……だけども……だけども……。

と考えながら彼は自分の額を、右手でシッカリと押え付けてみた。

……だけども……だけども……。