Classici giapponesi con furigana
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すぎこ
杉子
宮本 百合子
Leggi 杉子 (すぎこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9552 caratteri · 19 schermate
押しつけられるままになって杉子はなお口をきけなかった。
その日は英文学史の受持の岡が、いかにも病気中らしい和服姿で出て来た。そして、
「僕としては今度のことをあまり重大に考えようと思わない」
と云った。
「罪悪という風に思わないでいいんだろうと思う。しかし……」
暫く考えこんでいて、
「諸君は、この点をどう考えるかな。とにかく或る行動がされて、その結果が諸君の上へかえって来ているとき、その行動の動機がはっきり自分につかめていないというと――つまり、負わされる責任だけあって負う責任が自分に分っていないというような生活態度を、若い女性としてどう考えるだろう。今度のことにしたって、何かそこに反抗でもあってされたというのだったら、却ってさばさばしたんだと思う。動機らしい動機がない、そのことが寧ろ問題だろうと思う」
岡は、
「いずれ津本先生からもいろいろお話があったんだろうし、僕はその点をよく諸君めいめいで考えもし、話し合いもして、わかったら、もうこんなことは忘れた方が結構だと忠告したいね」
そう云って、ふっと苦笑の翳を口辺に泛べた。そして、独言のようにつけ足した。