Classici giapponesi con furigana
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りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
Leggi 李陵・山月記・弟子・名人伝 (りりょう) di Nakajima Atsushi (中島 敦) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.013 caratteri · 129 schermate
彼は自分の才能の非凡さについての自覚がないのだとも言える。彼が意地悪でないことだけは、確かに俺たちにもよく解る。ただ彼には弱者の能力の程度がうまく呑み込めず、したがって、弱者の狐疑・躊躇・不安などにいっこう同情がないので、つい、あまりのじれったさに疳癪を起こすのだ。俺たちの無能力が彼を怒らせさえしなければ、彼は実に人の善い無邪気な子供のような男だ。八戒はいつも寐すごしたり怠けたり化け損ったりして、怒られどおしである。俺が比較的彼を怒らせないのは、今まで彼と一定の距離を保っていて彼の前にあまりボロを出さないようにしていたからだ。こんなことではいつまで経っても学べるわけがない。もっと悟空に近づき、いかに彼の荒さが神経にこたえようとも、どんどん叱られ殴られ罵られ、こちらからも罵り返して、身をもってあの猿からすべてを学び取らねばならぬ。遠方から眺めて感嘆しているだけではなんにもならない。
夜。俺は独り目覚めている。
今夜は宿が見つからず、山蔭の渓谷の大樹の下に草を藉いて、四人がごろ寐をしている。一人おいて向こうに寐ているはずの悟空の鼾が山谷に谺するばかりで、そのたびに頭上の木の葉の露がパラパラと落ちてくる。