Classici giapponesi con furigana
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むらいちょうあんないれのからかさ
村井長庵記名の傘
国枝 史郎
Leggi 村井長庵記名の傘 (むらいちょうあんないれのからかさ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7794 caratteri · 16 schermate
「オイ坊さん、お待ちなねえ」と、仇めいた女の声がした。
ハッと驚いた長庵が、声のする方へ眼をやると、いつ来てそこへ捨られたものか、道の真中に女駕籠が引き戸を閉じたまま置かれてある。
「俺を呼んだはどこのどいつだ」
女駕籠と見て取って、長庵にわかに元気付く。
「ホ、ホ、ホ、ホ」と駕籠の中から、艶かしい笑い声が聞こえたが、
「おまはん余程強そうだねえ」
こう云った声には凄気がある。
「ねえ、おまはん、可愛い人や、坊主色に持ちゃ心から可愛! ホ、ホ、ホ、ホおい坊さん、お城坊主かお寺さんかそれとも殿医奥医師か、そんな事アどうでもいい。そんな事アどうでもいいが、円い頭の手前もあろうに、殺生の事をしたじゃアないか。たかが相手は田舎者。追剥もいいけれど、殺すぶにはあるめえによ。妾ア見ていて総毛立ちいした。殺生なひとでありんすねえ。……それでどれほど儲けなんしたえ?」
「プッ」と長庵それを聞くと、いまいましそうに唾を吐いたが、
「いや艶めかしい廓言葉と白無垢鉄火の強白、交替に使われちゃどうにも俺ら手が出ねえ。一体お前は何者だね?」
「おや正体が見たいのかえ。見せてやるのはいと易いけれど、おまはんの眼でも潰れてはと、それが気の毒で見せられないよ」