Classici giapponesi con furigana
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とうきょうロマンティックれんあいき
東京ロマンティック恋愛記
吉行 エイスケ
Leggi 東京ロマンティック恋愛記 (とうきょうロマンティックれんあいき) di 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3002 caratteri · 6 schermate
」と、云いながら、僕は外套を脱ると、ソファに埋れて青い小切手帳を示した。
「――いくら?…………」
「……………………………」
「――僕は、あらゆるものをあなたのために失くしてもいいんです。」
しかし、彼女は青磁のリノリウムに花の浮いた波浪をつくると、突然、佗しさを堪えた悲しみの堰がこわれるのだ。
その、彼女の涙の洪水に、僕の不徳が押し流されてしまうのだった。
僕は黙って立上ると、鍵穴を埋めた冷やかなものに触れた。妙に官能的な音がした。
「――………お帰えんなさい。」と、甘美な気分のなかで僕が云った。
「――……ええ。」啜泣くのをやめると、栗鼠の毛皮の外套をつけた女は、コンパクトで化粧をなおしてから、
「――あたし神戸だわ、でも明夜の十時五十五分の列車で妾帰ります。」
「――さようなら。」
「――……さようなら。」
★
とつぜん、受話器を外した電話を衝撃する音が、僕と魑魅子のこころをときめかした。
一瞬間、儚かった恋愛の泡が消えて、エモーションの波のなかに僕は、繊細な事件のために魑魅子にあたえた心理的な新らしい恋愛の鋳型を見るのであった。