Classici giapponesi con furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Leggi 林芙美子随筆集 (いなかがえり) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 58.157 caratteri · 118 schermate
――昔、何かで読んだ本に、刑務所の食事のことがありましたけれど、菜っぱのことを鳥またぎと云い、昆布のことをどぶ板と云うのだそうで、鳥またぎは鳥もまたいで通るような菜っぱの意味だそうですが、この刑務所はどんな食事をするのかと、わたしはたいへん興味がありました。
やがて炊事場もみせて戴き、これが今日の食事だと云う食卓もみましたが、やっぱり、何と云っても異常な場所だと云う気持ちだけは感じました。筒型にかためられた茶色の御飯と、味噌汁のようなものと胡麻塩、そんな風な食事でしたが、真面目に務めているひとたちには、時々お三時があると云うことです。不思議に、どのひとも元気そうに太っていて血色がよいのですけれど、どのような食事も実に愉しいのだそうです。赤い着物から順々に青とか縞とかによくなってゆくのだそうですが、縞の着物のひとなんか、まるで近所のおかみさんがちょっと手伝いに来たと云う感じでした。
ここには無期のひともいるのだそうですが、そのひとたちはどんな風な気持ちなのかとおもいます。たった一人で散歩する、金網を板囲いでしきられた遊歩所のようなところもこの建物を囲った石塀のそばにありましたが、狭い金網の中にも青々と雑草が繁っていて、倉庫のようなところに、背の低い真赤なけしの花が一輪可憐に咲いていました。