Classici giapponesi con furigana
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ざくろ
柘榴
山本 周五郎
Leggi 柘榴 (ざくろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.342 caratteri · 25 schermate
「だがどうしたのだろう」真沙はふと庭のほうへ眼をやった。「――なにも聞えない。樫の倒れる音がしたっきりだ」
たしかに、樫の倒れる凄まじい音と地響きがしてから、急にひっそりとなにも聞えなくなった。……真沙は立って縁側へ出てみた。庭の向うがひとところ、嘘のように明るくなって、これまで見えなかったお城の巽櫓が正面に眺められる。樫木は斜面の低いほうへ倒れ、鮮やかに新しい切口をこちらへ見せている。なんの音もしないし人の影もない。――その異様な静かさは真沙をぞっとさせた。なにか起こった。なにか非常な事が起こった。こう直感するなり、彼女は跣足で庭へとびだしていた。
伊助は樫木の下敷になっていた。腰骨のあたりを押潰されて……。彼は唇まで紙のように白くなり、歯をくいしばっていた。真沙は悲鳴をあげて、小間使と下女の名を呼びながら伊助の側へ膝をついた。――駆けつけて来た下女と小間使が、とりみだして騒ぐのを叱りつけ、一人を医者へ、下女には人を四五人呼んで来るように命じてやった。
「しっかりして下さい。もうすぐ人が来ます。医者もすぐ来ますよ。わたしがわかりますか」
「構わないで――」