Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かき

柿

山本 周五郎

Leggi 柿 (かき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.565 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

「思い懸けないって?」

兵馬は声の震えるのを抑え切れなかった。

「思い懸けないとはこっちで云うことだ、貴公は小房を。……いや待て。……牧野、己はそうだとばかり思っていたぞ、己は貴公が」

「それは困る、そう思われていようとは少しも知らなかった。なるほど貴公たちと拙者とは幼な馴染で、殊にこの数年来は身内のように親しくして来た、然し拙者としては元よりそんな気持はなかったのだ」

「では、……では牧野」

兵馬は思わず膝を進めた。

「いつぞや、折入って話があると云ったのはなんだ、あのときの話というのはなんだ」

「いやあれは別だ」

「別でもいい、改めて聞こうではないか、それとも今となっては話せないことか」

「……話そう」

辰之助は暫く黙っていたが、やがて静かに面をあげて云った。

「実は、まえから困った事が出来て、貴公の助けを藉りようと思っていたのだ。……小房どののことを云われたのでなんとも話しにくくなったが、それとは別に聞いて貰う」

「心得た」

「貴公は呆れるだろう、恥を忍んで云うが拙者には女がある」

「牧野!」

「若気の過だった、魔がさしたのかも知れない、ふとした機みに足を踏み外したのが、取返しのつかぬ事になった」