Classici giapponesi con furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Leggi 柿の種 (かきのたね) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.202 caratteri · 139 schermate
しばらくしてから娘が二階へ上がって来て「オヤ、これどうしたの」と言いながら縁側から拾い上げて持って来たのを見ると一羽の鶯の死骸である。かわいい小さなからだを筒形に強直させて死んでいる。北窓から飛び込んで南側の庭へ抜けるつもりでガラス障子にくちばしを突き当てて脳震盪を起こして即死したのである。「まだ暖かいわ」と言いながら愛撫していたがどうにもならなかった。
鳥の先祖の時代にはガラスというものはこの世界になかった。ガラス戸というものができてから今日までの年月は鳥に「ガラス教育」を施すにはあまりに短かった。
人間の行路にもやはりこの「ガラス戸」のようなものがある。失敗する人はみんな眼の前の「ガラス」を見そこなって鼻柱を折る人である。
三原山火口へ投身する人の大部分がそうである。またナポレオンもウィルヘルム第二世もそうであった。
この「ガラス」の見えない人たちの独裁下に踊る国家はあぶなくて見ていられない。
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隣家に犬がいる。戸外へは出さないらしいので姿は一度も見たことがない。夜中にほえている声から判断すると相当体躯の大きな堂々たる犬らしい。