Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Leggi 柿の種 (かきのたね) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.202 caratteri · 139 schermate

Aozora Bunko

「お汁粉取りましょうか、お雑煮にしましょうか。」

「もうたくさんです。」

「でも、なんか……。」

こんな対話が行なわれる。

こんな平凡な光景でも、時として私の心に張りつめた堅い厚い氷の上に、一掬の温湯を注ぐような効果があるように思われる。

それほどに一般科学者の生活というものが、人の心をひからびさせるものなのか、それともこれはただ自分だけの現象であるのか。

こんなことを考えながら、あの快く広い窓のガラス越しに、うららかな好晴の日光を浴びた上野の森をながめたのであった。(昭和五年一月、渋柿)

*

「三毛」に交際を求めて来る男猫が数匹ある中に、額に白斑のある黒猫で、からだの小さいくせに恐ろしく慓悍なのがいる。

これが、「三毛」の子で性質温良なる雄の「ボウヤ」を、女敵のようにつけねらって迫害し、すでに二度も大けがをさせた。

なんとなく斧定九郎という感じのする猫である。

夜の路次などで、この猫に出逢うと一種の凄味をさえ感じさせられる。

これと反対に、すこぶる好々爺な白猫がやって来る。

大きな顔に不均整な黄斑が少しあるのが、なんとなく滑稽味を帯びて見える。