Classici giapponesi con furigana
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かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
Leggi 柿色の紙風船 (かきいろのかみふうせん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.032 caratteri · 28 schermate
あの鉛筆の芯ほどの太さで僅か一センチほどの長さなのが、時価五六万円もするですって。ああ大変、あれが無くなっちゃ大変だわ。あたし、ご不浄へ行って探してみるわ。だけどもし万一見付からなかったら、あたし、どうしたらいいでしょうネ」
「そんなことよか、早く行って探していらっしゃいよ」
「そうね。ああ、大変!」
林檎のように顔色の良かった看護婦も、俄かに青森産のそれのように蒼味を加えて、アタフタと室外へ出ていった。
だが彼女は、出ていったと思ったら、五分間と経たないうちに、もう引返して来た。引返して来たというより、むしろ飛び込んで来たという方が当っていた。その顔色と云えばまったく血の気もなく蒼褪めて――。
「ああーら、どこにもあの人、居ないわ。あたし、どうしましょう。ああーッ」
彼女は、藻抜けの殻の寝台の上に身を投げかけると、あたり憚らずオンオン泣き出した。その奇妙な泣き声に駭いて、婦長が駆けつけてくる。朋輩が寄ってくる。はては医局の扉が開いて医局長以下が、白い手術着をヒラつかせて、
「なんだなんだ」
「どうしたどうした」
と、泣き声のする見当に繰り出してきた。
それからの病院内の騒ぎについては、説明するまでもあるまい。