Classici giapponesi con furigana
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かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
Leggi 柿色の紙風船 (かきいろのかみふうせん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.032 caratteri · 28 schermate
あの思いやりのある婦長さんや、新聞記者君が心配して下すったことは、遂に杞憂に終ったのであるから。つまりあの患者は、ラジウムに生命を取られることなしに、うまく助かったのである。そして今もピンピンしている。ピンピンしているどころか、こうして原稿用紙に向ってペンを動かしているのである。
あの失踪した患者というのは、実は斯くいうそれがしなのである。本名を名乗ってもいい。丸田丸四郎――これが私の本名である。
こう名乗ってしまうと、まず真先に訊かれるだろうと思うことは、
「どうしてお前は、病院のベッドから居なくなったのだ」ということだろう。
これについては、正直に次のように答えたい。「そいつは予ての順序だったのだ……」
予ての順序だったのだ。つまりラジウムを挿入されて、ほんのすこしだけれど、じっと寝かされるのを待っていたのだ。医師と看護婦とは、私が寝台の上に釘づけになっているだろうことを信じて疑わなかった。
「動かないで下さい。ちょっとの間ですから」
と医師は私に云った。そして看護婦の方を向いて、
「いいかネ。二十分だよ。……僕は医局にいるからネ」
「はア。――」
そして医師が向うへ行ってしまうと間もなく看護婦は私に云った。