Classici giapponesi con furigana
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くりのはなのさくころ
栗の花の咲くころ
佐左木 俊郎
Leggi 栗の花の咲くころ (くりのはなのさくころ) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6440 caratteri · 14 schermate
「兼元でがすよ。これだけは手放すめえと思ってたんでがすが、東京へ勉強に行っている伜から、金を送れって言って来たんで、とにかく、持って来たわけなんですがな。いつかの話を思い出して……」
嘉三郎は坐りながら挨拶代わりにそう言った。
「そりゃあ、もちろん、送って上げなくちゃなんねえね。私が売ってもらいますべえよ。いつか私が言った値でいいかね?」
「それがですね。私の気持ちでは、出来るなら、売り切りにしたくねえんでね。先祖から伝わってるもので、どうせ私から伜へ伝わって行くものだし、伜の学資のために売ったとなれば、伜も何も文句はねえと思うんですが、伜が成功でもしたとき、またそれが欲しくなるかも知れねえですからね。それでですね。今は、あの半分だけ借りて置いて、一応は伜と相談してから売り切りにしたいんですがね。」
嘉三郎は髭を捻りながら言った。
「そりゃあ承知です。半分でなくたって、元金に利子せえ添えて下さりゃあ、私あいつでも返しますよ。それなら相談するまでもありますめえで。」
「それなら伜になど相談しねえんでいいんですがね。併し、沢山借りるのも気になりますから、それじゃあ、百円だけ……」