Classici giapponesi con furigana
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ねぎしあんをおとなうき
根岸庵を訪う記
寺田 寅彦
Leggi 根岸庵を訪う記 (ねぎしあんをおとなうき) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4911 caratteri · 10 schermate
いったい無学と云ってよい男であるからこれはきっと僕等がいろんな入智恵をするのだと思う人があるようだが中々そんな事ではない。僕等が夢にも知らぬような事が沢山あって一々説明を聞いてようやく合点が行くくらいである。どうも奇態な男だ。先達て『日本』新聞に掲げた古瓦の画などは最も得意でまた実際真似は出来ぬ。あの瓦の形を近頃秀真と云う美術学校の人が鋳物にして茶托にこしらえた。そいつが出来損なったのを僕が貰うてあるから見せようとて見せてくれた。十五枚の内ようよう五枚出来たそうで、それも穴だらけに出来て中に破れて繕ったのもあるが、それが却って一段の趣味を増しているようだと云うたら子規も同意した。巧みに古色が付けてあるからどうしても数百年前のものとしか見えぬ。中に蝸牛を這わして「角ふりわけよ」の句が刻してあるのなどはずいぶん面白い。絵とちがって鋳物だから蝸牛が大変よく利いているとか云うて不折もよほど気に入った様子だった。羽織を質入れしてもぜひ拵えさせると云うていたそうだと。話し半ばへ老母が珈琲を酌んで来る。子規には牛乳を持って来た。汽車がまた通っての声を打消していった。