Classici giapponesi con furigana
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うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝
杉山 萠円
Leggi 梅津只円翁伝 (うめづしえんおうでん) di 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.582 caratteri · 130 schermate
腰が浮き上ってノメリそうになる。そこを全力を上げて踏み止まると、鏡代用の赤いお盆を持つ左手の気が抜けている。
翁は「ホラホラッ。それで鏡に見えるかッ」とか、「鬼ぞ鬼ぞ。地獄の鬼ぞ。鬼神ぞ鬼神ぞ。ヒョロヒョロ腰の人間ではないぞないぞ」と皮肉を怒号しながら滅多無性に張扇をタタキまくる。
利彦氏の顔は見る見る汗と涙にまみれて、肩は大浪を打ち、息は嵐のように息吹き初める。精も根も尽き果てながら舞い終って片膝を突くと、「さあ、今一度舞え。最後の気合いが途中で抜けちゃ詰まらん。鬼ぞ鬼ぞ。地獄の鬼神ぞ。ええか……おそろしや打火かがやく鏡の面に……」とアシライはじめる。さながらの地獄の光景である。
そのうちに利彦氏の腰付が心気の疲労のためいよいよ危くなって来ると、とうとう翁が癇癪を起して、張扇を二本右手に持ってヒョロヒョロと立上って来た。この頃から翁は軽い中風の気味で、左足を引擦っていたのであるが、利彦氏が突飛ばされた拍子に投出した赤いお盆を拾い取ると、翁は自身で朗々と謡いながら舞い初めたが驚いた。
その身体の軽い事。まるで木の葉のようにヒラヒラと身を翻えす。赤いお盆がそれこそサーチライトのようにギラリギラリと輝きまわり屈折しまわる。