Classici giapponesi con furigana
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ばいしのつえ
梅颸の杖
吉川 英治
Leggi 梅颸の杖 (ばいしのつえ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.966 caratteri · 32 schermate
『盗れる』
『盗れない』
と、争いになった。
盗れないと主張したのは、ごまの蠅では半生以上眼を研いできた男だった。その男の観察で、なぜ盗れないという見極めがつくかという説明を聞くと、あの杖には、おそろしく老女の気がはいっている。それに、象牙や金環の巻いてある点なども、ただの杖とはみえない。
おそらく老女の生命以上に大事にしている物らしいから盗れない、と断言するのだという。
『ばかを言ってやがら、きっと盗ってみせる』
そう言って、突っ張ったのが、色の小白い讃岐の四郎次というごまの蠅で、
『行って来る』
と、すぐに老女の後を尾けた。それが梅※(「風にょう+思」、第4水準2-92-36)だったのである。
四郎次は失敗した。いきなり杖に手をかけてはと思って、船着の混雑の中で、梅※(「風にょう+思」、第4水準2-92-36)のふところへ手をやると見せ、実は杖を奪おうとしたのだった。
所が、その手を捕まえられた途端に、南鐐銀一枚、手のひらに握らされて、軽く、放たれてしまった。
呆っ気にとられている四郎次を、やがて仲間の者が囲んで、
『どうしたい、杖は』
と、嘲笑った。