Classici giapponesi con furigana
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やしがに
椰子蟹
宮原 晃一郎
Leggi 椰子蟹 (やしがに) di 宮原 晃一郎 (みやはらこういちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4116 caratteri · 9 schermate
それでも自分の好きな椰子の実の新しいのを、久しぶりで喰べられるという考えから、一生懸命に樹に登りました。そしてその実を鋏でチョキンと切って落しました。蟹は又難儀をして、樹から降り、その実を割ってみましたが、元より椰子の実が神戸にあろう筈はありません。まだ見たことのない妙なものでした。そこで又樹に登って、又一つ実をチョキンと切り落しては、降りて来て、喰べようとすると、やはり同じ喰べられない実です。もう一度登ってチョキンと切り落して、降りて喰べようとすると、やはり喰べられない実です、こうして幾度も幾度も登ったり、降りたりして、もう樹の上にはたった一つだけしか実が残らなくなったとき、無理をしていた蟹の力はすっかり尽きて、高い梢からぱたりと下に落ちてしまいました。
夜があけました。宿屋の人が起きてみると、風も吹かなかったのに、どうしたものか庭には柘榴が一ばいに落ちておりました。そうして靴脱ぎ石の上に鋏の大きな蟹が死んでいるのを見ると、学者たちを呼んでまいりました。
「かわいそうに、柘榴を椰子と間違えたのだよ。」と、一人が言いました。
「潰れてしまったけれど、まだ形だけは残っている。