Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つばきのはなのあか

椿の花の赤

豊島 与志雄

Leggi 椿の花の赤 (つばきのはなのあか) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.755 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

黙っていた別所君が、机の上で一枚の原稿用紙を例の通り幾つにも幾つにもこまかく折りたたみながら、「俺は別だ」とふいに大きな声で云ったものです。みんな虚を衝かれた態で、別所君の方へ目をやると、別所君も急に我に返った様子で、「いや、僕も賛成です。」と慌てて云ったものです。それがまた何に賛成なのか訳が分らないものですから、みんな唖然とし、別所君は顔を赤くし、ただ私には、「俺は別だ」との最初の言葉が別箇の独語として心に残りました。

大体そんなところですが、別所君はつまり、人との応対に卑屈なほど従順であり、また遅刻をきらって平気で欠勤するほど純真であり、そして無数の不平不満を胸中に秘めてる男だったと、こうちぐはぐな浅薄な印象きりで、私にははっきりしたところは分りませんね。」

右のような話は、それでも、それが背景となって、別所の姿を浮出させるのに役立った。

私のところにも、他の背景があった。

別所が李永泰に連れられて初めて私の宅に来た時、彼は殆んど口を利かずに、李と私との雑談を笑顔で聴いていた。しんは強そうだが、然し痩せた腺病質な体躯、血色のわるい細面の顔、しなやかな長髪、静かに澄んだ目差、それとなんだかそぐわない長い感じのする歯並、そうした面影が私の目に留った。