Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
しかし傷にひびいて激痛が起こり、彼は呻きながら前へのめった。与五兵衛が殿さまといって、彼を危うく支えた。
「そいつを追い払え」と甲斐は云った、「二度とこの土地を踏ませるな、顔を見たら成敗するぞ」
与五兵衛は若者に眼くばせをし、「お館へ知らせろ」と囁いた。久兵衛は雪帽子を持って立ち、道のほうへとおりていった。
与五兵衛は甲斐の傷をしらべ、右の肋骨が二本折れていること、そこに外傷ができて、かなり出血していることをたしかめた。彼は出血を止める手当だけしながら、「なぜ久兵衛を叱ったのか」と訊いた。久兵衛は殿さまを跟けていた、自分はその久兵衛を跟けていた。
久兵衛は自分がうしろから跟けているので、殿さまを狙撃することができなかった。しかし狙撃するつもりでいたことはたしかであるし、あれは絶好の機会だった。万に一つも仕損ずることのない、絶好の機会だったが、久兵衛は殿さまではなく「くびじろ」を射った。それは主従という関係の強さである。あの瞬間に、自分の恨みを忘れたのは、褒めてやらなければならない、と与五兵衛は云った。
甲斐は聞いてはいなかった。
「おれをくびじろのそばへやってくれ」